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岐阜地方裁判所 昭和32年(モ)105号 判決 1957年3月20日

申立人 栗山寅吉

相手方 説田信義

主文

債権者相手方、債務者申立人間の昭和三十年(ヨ)第一八五号有体動産仮差押申請事件について当裁判所が昭和三十年十二月二十九日なした仮差押決定正本に基き相手方が申立人所有の有体動産に対してなした仮差押執行は之を許さない。

申立費用は相手方の負担とする。

理由

一、申立人は主文同旨の決定を求め、異議の理由として、相手方は申立人に対して金十八万五千七百七十一円の債権ありとして右債権保全のため岐阜地方裁判所に対し仮差押命令の申請をなし、右事件は同庁主文掲記の事件として係属し、相手方は昭和三十年十二月二十九日仮差押決定を得、右決定正本に基き申立人所有の有体動産に対し仮差押の執行をした。然しながら申立人は相手方主張の如き債務を負担したことがないので右仮差押決定に対し異議を申立てたところ、右事件は昭和三十一年十月十二日の口頭弁論期日において休止となり、爾後三ケ月の期間内に期日指定の申立をしなかつたため右仮差押の申請は取下と看做され終局を告ぐるに至つた。従つて右仮差押決定は当然失効するに至つたに拘らず相手方はこれが執行の解放をなさないのでこゝに相手方に対し右仮差押決定正本に基き申立人所有の有体動産に対してなした仮差押執行の排除を求めるものであると述べた。

二、債権者相手方、債務者申立人間の当庁昭和三十年(ヨ)第一八五号有体動産仮差押申請事件について申立人主張の如く仮差押決定がなされ相手方は右決定正本に基き申立人所有の有体動産に対し右仮差押決定の執行をなしたこと及右仮差押決定に対し申立人は異議を申立てたが右事件は申立人主張の如く休止満了となり終局するに至つたことは右申請事件記録に徴し明白である。されば相手方の右仮差押申請は取下られたものと看做されるから右仮差押決定は当然失効するに至つたものであつて之に基く申立人所有の有体動産に対する仮差押の執行は理由なきに帰したものというべきである。従つて之が排除を求める申立人の主張は正当として之を許容し申立費用の負担につき民事訴訟法第八十九条を適用し主文の如く決定する。

(裁判官 奥村義雄)

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